清水 誠さん
岐阜県揖斐郡大野町生まれ
流通業や電気工事業など、多様な職を経て、父が続けてきた農家を受け継ぐために就農。
経営概要
父と2人で18ヘクタールの水田を所有しています。
その中で、8ヘクタールずつを米・麦・大豆のサイクルで輪作しています。
インタビュー
Interview
就農の動機を教えてください
いくつかの職を経験した後、父から「45歳までの青年就農者を対象とした青年就農給付金制度があるから、農業をやらないか」と勧められ、給付金を受けながら就農することを決意。不安もありましたが、父も建設業を経て、祖父から農家を受け継いだ経験をしていたため、自分も同じようにやってみようと思いました。
就農までの経緯はどうでしたか
本格的な就農に向けた準備や、経営が安定するまでの生活を支援してくれる青年就農給付金制度を活用し、就農しました。父をはじめ、JAの担当者や同じく親子で農家をしている仲間にアドバイスを受けながら、栽培方法を学んでいます。特に近隣の農家とは、情報を交換するだけでなく、収量を競ったり、お互いに人手が必要な作業を協働するなど、良き仲間そしてライバルとして、いつも刺激を受けています。
就農しての感想
就農して間もない頃は、父の仕事を見よう見まねでやっていましたが、やはり失敗も多く、父が1人で手掛けていた時よりも、収量が落ちてしまうこともありました。農業は、自分がやったことがそのまま結果につながることを痛感し、難しさを感じています。
また、稲作をはじめとした穀物は、収入も大きいですが機械などを揃えるための支出も大きくなります。特に最近の農業は、機械に頼るところも大きいため、持っている機械を長く使ったり、アンテナを張って他の農家から安価に譲ってもらうなど、工夫が必要。その点、壊れた機械を自分で直したり、より効率のいい経営方法を考えたりと、これまでの職歴を生かして、よりよい農業を目指しています。
今後の目標を教えてください
揖斐郡でつくられる米は、水分やアミロース、タンパク質などを計測し、独自の基準をクリアしたものをプレミアム米として販売しています。ハツシモのプレミアム米である「いびいただき」は、甘みや豊潤さを表す食味が80%以上必要。これまでは、まず収量を増やすことを念頭に取り組んできましたが、今後はこうした食味を高めることを考えて、手間暇をかけた栽培をしていこうと思っています。
また、今の水田も20ヘクタールまで増やしていきたいと考えています。規模を拡大するためには、人手や機械も必要となるため、計画的に体制を整えていきたいです。
これから就農しようとしている人へメッセージ
現在、私はJAの青年部や町の農業委員会に入り、地域に空きの水田をつくらないように遊休農地をなくしたり、農業をやりたい人を支援するなど、地域の農業を守る活動を行っています。後継者不足が大きな課題となる中、新規就農を目指す人を受け入れて、アドバイスやサポートをしていきたいと考えています。
どうすれば早く作業ができるかを日々試しながら、自分なりのこだわりや方法を発見するのが、農業のおもしろさだと思います。私のように独学で農業を学ぶこともできますが、最近は研修施設などで適切な栽培方法を身に付けることができます。基礎となる知識があると、さらにいい農業へ向けた工夫もしやすくなるはず。様々な就農方法を探り、自分に合った形で就農を目指してください。