実家の農地をいかして、いちご農家へ転身
田中 利昌さん
出身:岐阜市
就農年月:2022年6月
栽培している農作物:いちご(美濃娘)
現在の圃場規模:18アール
インタビュー
Interview

いちご新規就農者研修所で高設栽培の技術を習得

私は就農する以前、全国で店舗を運営する企業に勤めていました。しかし、当時店長を務めていた店舗が閉店することになり、他店舗への異動を余儀なくされた時に、自身のキャリアを見つめ直し、転職を意識し始めました。その際、兼業農家だった実家の水田を受け継ぐ人がいなかったことから、農家になるという選択肢が浮かび上がりました。そこで、経営が成り立つ作物を検討していたところ、ぎふ就農・就業ポータルサイト「ぎふっ晴゜れ」を見て、ぎふアグリチャレンジ支援センターに相談。岐阜市にあるJA全農岐阜いちご新規就農者研修所を知り、栽培技術を学んで、いちご農家を目指すことに決めました。
研修所では、1年2ヶ月の間でいちごの高設栽培を基礎から学ぶことができます。私は2021年4月に、同じく異業種出身だった2名とともに入所し、1年を通した実践的な栽培方法や流れを学びました。また、研修と並行し、独立後に使用するハウス設計や苗の管理など就農準備も進めたため、駆け抜けるような1年間でしたが、就農後もすぐに栽培が始められるよう、万全の体制を整えられたことは、非常に有難かったです。
鮮度と品質にこだわり、日々の栽培に向き合う

研修所では多くのことを学ぶことができましたが、いざ自分で栽培を始めてみると、本当に苗の生育がいい状態なのか分からず、不安や迷いも少なくありませんでした。しかし、年を追うごとにどの時期に苗がどのような状態であるべきか分かるようになり、トラブルにも早期に気がついて対処できるようになりました。作業にも次第に慣れ、効率的な段取りで進められるようになったことで、1年目から目標とする収量を確保しています。
いちごは、追熟する果物とは異なり、収穫後短い日数で品質が落ちてしまいます。そのため、私は鮮度にこだわり、朝に収穫したいちごを、なるべくその日のうちに出荷しています。パック詰めは、できる限り自身で行っていますが、11月末から6月初旬まで続く収穫期は栽培管理作業とバランスをとり、無理なく乗り切るため、JAぎふのパッキングセンターも活用しています。
加えて、現在は、収量アップに向けて、ハウス内の環境をコントロールするため、環境制御システムを導入しています。私が栽培している品種「美濃娘」は、厳寒期には草勢が弱くなるため、温度は高めに設定しています。さらに、甘く大きな実に育てるため、日射量に合わせて養液やハウス内の湿度なども調整し、光合成能力を高めるよう、生育環境を整えています。
知識やノウハウを積み重ね、さらなる規模拡大へ

岐阜県は、新規就農者を地域全体で育て、昔から続くいちごの産地を盛り上げていこうという気運が根づいている地域です。JAぎふ岐阜市いちご部会青年部が行う勉強会に参加したり、研修所の卒業生からアドバイスをもらったりできる点は、大きな強みだと感じています。栽培に不安を感じた時には、先輩農家の圃場を見せてもらい、栽培の工夫や管理方法を教えてもらいながら、研鑽を重ねています。また、栽培上の課題解決のため、毎年栽培試験に取組んでおり、その結果は青年部で共有するようにしています。
今は家族のほかに常勤スタッフ1名を加え、収穫シーズンにはさらに2~3名を増員しています。私は前職で店長を務めた経験があるため、そこで培った人材育成や組織運営の知識が、農業経営においても活かせていると感じています。また、就農4年目を迎え、栽培方法や収支など経営面の理解も深まりました。このノウハウをいかして、将来的には現在のハウスと同等のハウスを増築し、規模を拡大していきたいと考えています。
収穫前はゆったりと心身を整える時期

収穫の最盛期はどうしても作業に追われて休みが取れませんが、基本は週休2日で、育苗作業が落ち着く7月から収穫が始まる11月までは、暑さも考慮して週休3日で無理なく作業を進めています。この時期に家族とも旅行に出かけ、繁忙期に向けて英気を養っています。

