代々続く農場を祖父から孫へ経営継承
吉田 芹奈さん
出身:愛知県
就農年月:2022年4月
飼育している家畜:黒毛和牛
現在の規模:親牛50頭
インタビュー
Interview

研修センターの1期生として和牛繁殖を学ぶ

私の祖父は、曽祖父が始めた酪農を受け継いでいましたが、体を壊したのを機に酪農をやめ、2011年から和牛の繁殖をスタートしました。しかし、後継ぎがいないことから、祖父は自分の代で農場を閉めようと考えていました。私は当時、社会人として働いていましたが、その話を聞いて「この農場をなくしたくない」と思い、後を継ぐことを決めました。
私が就農を志した頃、ちょうど美濃加茂市に肉用牛繁殖雌牛の飼養を始めたい方を対象とした「飛騨牛繁殖研修センター」が開設され、私は1期生として研修に参加。2年間、実習や座学で親牛の行動や妊娠の仕組み、子牛の飼育方法などを学びました。研修で得た知識は、初めてのことばかりで非常に興味深く、私は牛の様子を見るために、休みの日も欠かさずセンターへ通っていました。
人工授精の資格を取得し、確実な授精を目指す

祖父は親牛の人工授精を獣医に依頼していましたが、私は自分自身でできるよう、研修中に家畜人工授精師の資格を取得。就農後、獣医や家畜保健衛生所のアドバイスを受けながら授精に挑みましたが、なかなか妊娠させるに至りませんでした。和牛の繁殖では、計画的に妊娠させることが非常に重要であり、21日に1回の親牛の発情ペースのタイミングを逃すことは大きな痛手でした。
そこで私は経験を重ねるとともに、毎日の発情段階を見極め、発情ピークに授精ができるよう、ていねいな観察に注力。その甲斐あって、今では8割ほどの成功率で授精できるようになりました。現在、年間35~40頭の子牛を市場に出荷しています。
生まれた子牛は、生後8~9ヶ月まで育てて出荷しますが、子牛はとてもデリケートで病気にかかりやすいため、ここでも毎日の観察が大切になります。生まれた後は、子牛にできるだけ語りかけたり撫でたりして、環境に慣れてもらえるよう手をかけて世話をしています。その際に健康状態を注意深く観察し、ミルクの飲む量や体温などの体調の変化を少しでも見つけたら、すぐに獣医へ相談するようにしています。
生まれた子牛が元気に育つ環境づくりに尽力

一人前の繁殖農家を目指す中で、一番の目標としているのは、分娩前後の子牛の死を防ぎ、事故率を下げることです。生まれた子牛は体調を崩しやすく、育成には非常に気を遣います。獣医と相談しながら、ワクチンを接種するなどの対策を行うほか、できる限り風邪などの感染症にかからないように注意しています。
近年は気候変動によって、夏の暑さや冬の寒さが厳しくなっていると感じるため、子牛にストレスのない環境づくりにも力を入れています。生まれたての子牛は体温調整や体温維持が難しいため、昨年は新たな試みとして試験的に子牛用の服を1枚導入。その結果、冬でも体温が維持できたので、今年はさらに枚数を揃え、ヒーターを導入して寒さ対策をしています。夏は、ミストや扇風機に加えて、牛用の保冷剤を活用。今後は暑さや寒さ対策を学ぶため、動物園などの設備等を見学に行きたいと思っています。
時間を調整して平日のランチをエンジョイ

平日は朝4時と16時に飼料を与え、その他の時間を観察や堆肥処理、飼料の準備に当てています。朝が早い分、仕事は早めに終わるので、夜の時間を楽しんだり、時には家族に牛の世話を頼んで、友人と平日のランチに出かけたりしています。

