子どもの頃に抱いた農業への思いを実現
高谷 雪乃さん
出身:愛知県
就農年月:2023年4月
栽培している農作物:夏秋トマト(麗月)
現在の圃場規模:25アール
インタビュー
Interview

飛騨市の自然と農業の魅力を体験し、就農の道へ

私は、小学校の時に授業でミニトマトを栽培した際、農業のおもしろさに惹かれ、「いつか農業をしたい」と思うようになりました。一度は別の職業に就きましたが、転職を考え始めた時に、農業に憧れていたことを思い出し、一度情報を集めてみようと「新・農業人フェア」に参加。その際、飛騨市のブースでトマト栽培について話を聞き、興味を持ちました。
その後、飛騨市で研修生を受け入れている農家の話を聞くことができる、1泊2日の体験ツアーがあると聞き、初めて飛騨市を訪問。冬だったため、膝下まで雪があるのを見て、「ここで暮らしたら楽しそう」と思い、飛騨市に移住して就農することを決意しました。就農に向けては、地元農家の下でトマト栽培を学べる「あすなろ農業塾」の研修制度を活用。2年間、栽培の流れを教わるのに加えて、座学による肥料や農薬、簿記や経営など、幅広い知識を学ぶことができ、とても充実した研修になったと感じています。
移住者・就農者への手厚い支援を最大限に活用

研修後、実際に就農する際は、研修先の塾長が探してくださった農地を、地権者から10年間、無料で借りることができる飛騨市の助成制度を利用。このほかにも、研修中の家賃補助や移住・結婚後に空き家を購入した際の補助など、移住や就農に対して手厚いサポートがあり、とても助かりました。
就農して1・2年目は、ハウスのビニールが突風で飛ばされたり、雪が多くてハウスが埋まってしまったりと、自然の厳しさを実感。落胆してしまうような出来事かもしれませんが、私は反対に「自然はすごい」と感動しました。幸い、「麗月」は育てやすい品種であり、トマトは研修どおりに栽培でき、十分な収量を確保できています。この地域は、品種を早くから切り替えたため、ここ数年の異常な高温下でも安定して収穫ができ、確実に収入が得られる点も魅力だと感じています。今は、自分とトマトの成長を日々感じるのが楽しみになっています。
就農当時は15アールの圃場を借りていましたが、3年目にさらに10アール拡大しました。現在は、ハウスの準備や片付け、収穫など人出が必要な時に、家族や友人に手伝ってもらっています。今後はさらに面積を増やし、地域の方も雇用できるようにしていきたいです。
直売所がつないだ地域住民との絆を大切に

この地域では、トマト部会の研修会などもあり、多くの農家と知り合う機会があります。また、飛騨市や近隣の高山市は移住者が多く、移住者同士の出会いや交流の機会もあります。私自身も、飛騨の木工を学ぶために秋田県から移住してきた夫と出会い、結婚しましたが、移住者同士の夫婦に対して住宅改修を支援する補助制度もあるなど、移住者にやさしい地域だと実感しています。
収穫したトマトは、全量農協に出荷していますが、規格外品を圃場内で販売することで、近所の方から話しかけてもらえるようになりました。トマトは、すぐに売り切れるようになり、「もっと置いてほしい」という声もいただいています。これまで栽培で忙しく、なかなか地域の方と話す機会がなかったので、無人販売所を設置してよかったと思っています。今後も圃場を広げて、地域の方にも多くのトマトを提供できるようにしていきたいと思っています。
自由な働き方ができるのが利点!

この地域のトマト農家は、夏の収穫時はなかなか休むことができませんが、冬はまとまった休みが取れるのが魅力。自分のペースで働き、平日の空いている時間に買い物やレジャーに出かけられるのも、この仕事ならではのメリットだと思います。

