有機栽培を志し、白川町で移住就農
和田 直樹さん
出身:愛知県
就農年月:2022年6月
栽培している農作物:水稲、里芋、にんじん、落花生、養鶏(採卵鶏)等
現在の圃場規模:1.1ヘクタール
インタビュー
Interview

定年後の夢を早期実行し、有機栽培農家を目指す

私は、学生時代から「定年したら農業をしたい」という思いを抱きながら、一般企業に就職。しかし、定年後からスタートした場合の体力的な負担を考えると、難しいのではないかと感じ、「あの時にやっておけばよかったと後悔したくない」と、仕事を辞めて長野県の農業大学校へ入学しました。農業大学校では野菜栽培を専攻し、2年生の時に農家での研修を行った際、愛知県の有機栽培農家を訪れ、有機栽培に感銘を受けました。
有機栽培で就農を志した私は、農業大学校の卒業後、愛知県名古屋市で開催しているファーマーズマーケットへ就農相談に行き、白川町を紹介されました。白川町は、町をあげて有機農業を推進し、研修生の受け入れや就農支援を行っていたため、私も町内の有機栽培農家で1年間の研修を受けた後に現在の農地を紹介してもらい、就農しました。
出荷先が確保され、栽培に専念できる点が最大の魅力

現在は、研修先の農家で栽培していた水稲を中心に里芋、にんじんや落花生等を栽培し、養鶏も行っています。就農して1・2年目は、研修時に学んだ栽培方法で、ある程度の収量を確保できましたが、3年目は日照りが続き、苗が枯れてしまうなど、気候の影響を受けました。現在はその経験を活かし、気候に合わせて種まきを計画するなど工夫に努めています。
収穫した作物は、町内で有機栽培をする仲間とともに、愛知県のオーガニックスーパーへ出荷しています。通常、有機栽培を行う農家は、栽培と並行して自分自身で販路を見つけなければなりません。そのため、すでに出荷先が確保されている点が、私が白川町で就農することを決めた最大の理由でした。実際に就農後は、営業活動を少なくして、その分の労力を栽培や出荷調製作業などへあてることができ、そのメリットを実感しています。
栽培している里芋は、丸型できめが細かいのが特徴です。出荷先のお客様にも好評なので、安定的な供給ができるよう、収量アップを目指しています。この辺りの圃場はもともと田んぼでしたので、里芋の栽培に適した土にするため、今年からは、近隣の牧場から購入した堆肥を散布して、土づくりに力を入れています。
養鶏の鶏糞を活用した循環型農業もスタート

私は就農にあたり、経営の安定を図るために水稲・野菜の栽培と養鶏を組み合わせることを考え、飼育小屋を建てることができるよう、庭のある一戸建てを借りました。今はそこに自分で4棟の小屋を建て、約100羽の鶏を飼育しています。しかし、思っていた以上に鶏糞が発生し、その処分が課題の1つになっていました。そこで、圃場の土づくりにその鶏糞を活用。持続可能な循環型農業を少しずつ実践しています。
今の目標は、野菜、水稲の出荷量を安定させること。そのために、研修先だった農家と一緒に圃場の面積を増やし、助け合いながら作業を行っています。研修先の農家も、10年前に白川町へ移住してきた先輩有機農業者です。白川町の中でも、この地域は昔から移住者を受け入れてきた場所であり、私自身も最近は地域の方から「今年の収穫量はどうだった?」など、声をかけてもらえるようになりました。地域の方に認知されるようになりうれしく感じています。
仕事後の時間や冬期間がオフタイム

普段は朝5時半頃から鶏にエサを与え、8時から15時頃まで農作業をします。夕方に鶏の採卵とエサを与えた後は、ゆっくりと自分の時間を楽しんでいます。また、年末から春先まで養鶏以外はオフになるため、のんびりと過ごし、短期で帰省するなどしています。

