食に関わる仕事で起業を目指し、農家を選択
東野 竜童さん
出身:岐阜県大垣市
就農年月:2022年7月
栽培している農作物:冬春トマト(りんか409、かれん、フルティカ)
現在の圃場規模:31アール
インタビュー
Interview

東京から帰郷し、冬春トマトの研修施設で一から勉強

私は以前から食に興味があり、東京の飲食店で働いていましたが、当時から「いつかは独立して自分で事業をしてみたい」と思っていました。食に関わりながら、フレキシブルな働き方ができる仕事を探す中で、思い至ったのが農業でした。しかし、最初は農家になるための栽培知識がなかったため、就農希望者に向けた就農相談イベント「新・農業人フェア」に参加。就農方法を一から聞くとともに、出身地である岐阜県を含め、様々な相談ブースを訪ねました。
当時は東京に住んでいましたが、農業をやるなら岐阜に戻りたいと思い、岐阜県が開催する農業の基礎知識を学ぶ「農業やる気発掘夜間ゼミ」を受講し、その後、産地として知られている海津市の冬春トマトを栽培品目に選択しました。
海津市にある県が運営する研修施設「岐阜県就農支援センター」に応募し、1年2ヶ月の研修期間に、冬春トマトの栽培技術や経営の基礎を学びました。この間に、圃場の紹介や補助金申請準備のサポートなど手厚い支援があり、就農の土台づくりができたとメリットを実感しています。
自分で考えた方法で成果が出せることがモチベーションに

計画作成の時には、収支をしっかりと経営シミュレーションし、採算がとれる30アールの圃場を確保して就農。現在は約8,700株のトマトを栽培しています。研修時の担当圃場は、1人約8アールと規模が小さかったので、最初は規模の違いから作業が後手後手になり、習った通りに栽培を進めることだけで精一杯でした。パートも雇っていたため、自分自身も慣れていない中で作業を教え、指示を出すことにもしばらくは苦戦し、1年目は自宅と圃場の往復で毎日が過ぎていったのを覚えています。
2年目からは少しずつ作業の流れをつかみ、指示も的確に出せるようになったことで、収量も品質も徐々に上がっていきました。栽培は、研修で教わったことを1つ1つ間違いなくできれば、ある程度の収量を得ることはできますが、より多くの収量をとるためには工夫が必要で、その点が難しさでもあり、おもしろみだと感じています。
私が行っている「トマト独立ポット耕栽培」は、ハウス内でトマトの株を独立したポットに植え、自動制御で養液を供給して栽培します。栽培をコントロールしやすい点が強みなので、手をかけた分、しっかりと結果が出ます。トマトの生育状況は毎年少しずつ違うため、常にデータを見ながら、天候や生育に合わせてハウス内温度や肥料の量などを調整しています。自分でよりよい方法を考えて量も質も高めていくことが、やりがいにもつながっています。
働きやすい環境を整えて、効率的な経営を図る

就農当初は、パートを雇いながらも自分で栽培作業の多くを行っていましたが、自分自身の負担が大きく、限界を感じていました。そこで、パートの方に重要な作業も含め、多くの作業を任せることで効率化を図りました。現在は約10名のパートを雇い、就農1年目と比べると自分のワークライフバランスも改善されています。今の目標は、働いてくれる人たちに「ここで働いてよかった」と思ってもらえる環境を作っていくことです。そのために、シフトや休日の希望を極力叶えるようにし、子どもの体調不良など急な事情でも休めるような体制づくりに努めています。
さらに収量や売上を増やし、働く人に還元できるよう、自分自身も農業経営者としてスキルアップできるよう積極的に勉強しています。例えば、2024年に参加したぎふアグリチャレンジ支援センターが開催する「ぎふ農業経営学院」では、経営計画の策定や他地域の農家とのつながりを作ることができました。今後は、この地域も高齢化によって農業を辞める人が増えてくると思うので、空いたハウスを活用して圃場を拡大するなど、将来的には規模拡大も視野に入れていきたいです。
自分で予定を決められる自由さが魅力

16~17時には作業を終えて帰れるので、友人との飲み会や好きなアーティストのライブに出かけています。日中に予定がある時も、パートの方に作業をお願いして外出することもできるため、自由な時間の使い方ができています。

