子どもの頃から見てきた祖父のキュウリ栽培を継承

大野町 きゅうり 独立自営就農

堀 碩隼(ひろとし)さん

出身:岐阜県揖斐郡大野町
就農年月:2023年4月
栽培している農作物:キュウリ(ニーナ、夏彩、まりんなど)、ナス(千両)
現在の圃場規模:29アール

インタビュー

Interview

キュウリ栽培の学びを積み重ねて地元で就農

 私は祖父がキュウリ農家であり、子どもの頃から調整作業や出荷作業などを手伝っていました。そのため、自然と「農業をやってみたい」と思うようになり、農業を学ぶため岐阜農林高校園芸科学科に進みました。高校の授業では、中学の頃から好きだった化学や物理が農業と密接に関係していることを知り、農作物を育てることに興味がさらに深まりました。

 高校を卒業後、私はさらにキュウリ栽培に関する専門的な知識や技術を学びたいと思い、岐阜県農業大学校へ進学。2年間で施設野菜栽培の基礎を身につけることができました。また岐阜県農業大学校を卒業した後も、キュウリの大規模施設園芸経営に成功している佐賀県の農場で1年間の研修を受けました。就農を考え始めた時は、新たな場所に圃場を構えて一から始めたいと思っていましたが、土地探しを始めてみると、自分の思いに合った場所を探すことの難しさを実感。また、新たにハウスを建てようと思うと多くのコストがかかることから、祖父のハウスを受け継いで就農することを決めました。

人にもキュウリにもやさしい環境づくりに工夫を凝らす

 現在は、7月下旬に約1500株を定植し、8月~11月上旬まで収穫を行った後、1月に2度目の定植をして6月上旬まで収穫をする年2作を行っています。キュウリは非常に成長のスピードが早いため、収穫シーズンは作業に追われる毎日です。そこで作業効率を高めるため、祖父が栽培していた時よりも列数を減らしたり、倉庫などの整理で人の動線をよりスムーズにしたりと工夫を凝らして、広々としたスペースでストレスなく働ける環境を整えています。

 就農1年目は、夏場に水を与えすぎたのに加えて、作業中の暑さを軽減するために遮光カーテンを引く時間が長くなり、キュウリの草勢が弱くなってしまいました。その結果、予想していた量の半分ほどしか実が付きませんでした。失敗はしてしまいましたが、自然環境とうまく付き合っていかなければいけないことは農業のおもしろさでもあると思い、次に活かしていきたいと思っています。

 一方、冬場はキュウリもゆっくり成長するため、作業も少し余裕をもって行うことができます。これまで私の祖父は、冬場は土の中にパイプを埋めて温水を流すことで、地温を維持する地中暖房にこだわってきました。地中暖房は光熱費がかかりますが、私も初めて冬作を経験してみて、地温を保つことの大切さを実感したため、祖父に倣ってこの方法を維持していこうと思っています。

さまざまなチャレンジをしながら、今後の展開を模索

 私は就農を志してから、将来は自分も大規模経営をやってみたいと思い、そのノウハウを学びに行ったり、さまざまな産地を視察したりしてきました。しかし、実際に就農してみると、自分で体を動かして日々キュウリと向き合い、少しの変化に一喜一憂する農家ならではの楽しみにも魅力を感じており、自分の思うように手間暇をかけられる小規模農業と、より安定した収入が見込める大規模経営のどちらを選択すべきかを考えています。

 現在は、今の規模で安定した収入につながることにチャレンジしようと、キュウリ以外の野菜栽培に着手。4月下旬~11月の間、ナス栽培を始めました。ナスは長い期間収穫ができるため、収入の安定にもつながる上、キュウリと同じ果菜類なので行うべき作業が似ていて、両立しやすさを感じています。これからもさまざまなチャレンジをしながら、自分に合った農業のカタチを追求していきたいです。

OFF TIME

休憩時間などを活用して勉強に!

キュウリの収穫は毎日7時と16時の2回行うため、働く時間が長くなり過ぎないよう、昼間に3時間の休憩時間を取ってリフレッシュしています。通勤時間がないこともあって思ったよりも自由時間が多く、本を読んで勉強する時間に当てています。