祖父母と同じ飛騨牛の繁殖農家という道を選択

高山市 雇用就農

鈴木 愛生さん

出身:岐阜県高山市
就農年月:2024年
飼育している家畜:黒毛和牛

インタビュー

Interview

飛騨牛の未来を担う若手人材の育成施設で勉強

 私の祖父母は、牛の種付・出産を行い、産まれた子牛を育てて肥育農家へ出荷する繁殖農家をしていました。私は高校進学の際、自分が何になりたいのかが分からず、進路を決められなかった時に、母から「牛の勉強をしておけば、祖父母の仕事を継ぐことも選択肢の一つにできる」と勧められ、飛騨高山高校 動物科学科に進みました。その後、飛騨牛新規就農者研修施設「ひだキャトルステーション」で、研修生として2年間、繁殖雌牛の飼養管理や飼料作物の生産、農業機械の操縦、経営管理など、和牛繁殖経営に必要な知識や技術を学習しました。

 研修生の期間には、地域のさまざまな農場で研修を体験することもでき、その一つが現在働いている農業生産法人藤瀬肉牛農場有限会社でした。私が訪れた際に「繁殖に人手が足りていない」と聞き、祖父母が行っている繁殖に携わらせてもらえるなら、ここで働きたいと思い、就職を希望。研修中には、就農準備資金を受給しました。

繁殖農場を任され、子牛と向き合う毎日

 農場には、繁殖や肥育だけを専門的に行うところもありますが、私が働く農業生産法人藤瀬肉牛農場有限会社では、繁殖から肥育までを一貫して生産しています。私は就職後から、繁殖牛35~40頭を世話する農場を任され、作業の段取りなどを自分で考えながら、日々の飼育を行っています。ここで産まれた子牛は、生後8~9ヶ月まで育てられて肥育部門へ引き渡されます。産まれた子牛は非常にかわいいですが、病気を患(わずら)ったり怪我をしたりしやすいので、細心の注意が必要です。無事に成長し、肥育部門に引き渡すことができた時は、やり遂げた達成感と安心感があります。

 子牛や母牛が病気に罹(かか)った時は、すぐに獣医師を呼んで対処することが大切。そのため、常に牛の状態を観察することが、非常に重要です。また、子牛はとてもわんぱくで、柵の隙間に頭を突っ込むなど、思わぬ行動をして怪我をすることがあります。そのため、大事に至らないようすぐに対処するために、鳴き声が聞こえたらすぐにかけつけたり、体調不良や病気が発症した様子を見つけたら、他の牛に感染しないようにしたりすることを心がけています。特に、寒くなる冬場は子牛が体調を崩しやすいので、万全の注意を払っています。

1頭1頭に寄り添い、健康な子牛を送り出したい

 現在は、8時~17時30分までの勤務時間で、昼間のエサやりや分娩を担当。夜の分娩は先輩方に任せていますが、もしも将来、祖父母の農場を継ぐことになったら、自分ですべてを担っていかなければならないので、これから経験を積んでいけたらと思っています。今はまず基本的な飼育方法をしっかりと身につけ、今後はよりよいエサの選択を先輩方に提案するなど、意欲をもって取り組んでいきたいです。

 牛の繁殖では、母牛が一年一産で健康な子牛を得ることが、一番の目標です。そのため、分娩の時は毎回、大きな緊張感に包まれます。分娩は早いと30分ほどで終わりますが、長く子牛の頭が出てこないと窒息してしまうこともあるため、引っ張り出してあげる必要があります。死産に終わったり、早産で産まれた子牛が亡くなったりした時の失望感は、慣れることはありません。1頭でも多くの子牛を健康な状態で肥育部門に送れるよう、これからも牛1頭1頭と向き合っていきたいと思います。

OFF TIME

趣味を満喫してリフレッシュ!

勤務はシフト制で月6日の休日があります。休日は、趣味で絵を描いたり好きなゲームをしたりしてリフレッシュ。仕事は大変ですが、自分の楽しみに没頭することで、心身のバランスを保つことができます。