農業を通じて地域の課題解決や活性化をしたい
今井 健人さん
出身:岐阜県加茂郡八百津町
就農年月:2022年4月
栽培している農作物:さつまいも(べにはるか、安納芋など)
現在の圃場規模:1.5ヘクタール
インタビュー
Interview
耕作放棄地の解消を目指して就農を選択
私は、就農する前は公務員として働いていましたが、趣味のサイクリングで自然の中を走っている際に、田畑をやめて太陽光発電を建設する土地が増え、原風景がなくなっていくことを残念に思うとともに、将来は里山が荒れてしまうかもしれないと危機感を抱くようになりました。そこで自分で農業を行ったら、少しでもこうした状況を食い止めることができ、耕作放棄地を解消できないだろうかと考え、知人とともに農業を始めることにしました。
最初は、農薬や化学肥料を使わずにいろいろな野菜の栽培に挑戦しましたが、なかなか上手くいかず、失敗の連続でした。そんな時、近隣の方に「さつまいもを作ってみてはどうか」と勧められました。苗作りから栽培を始めた結果、700~800本のさつまいもを育てることに成功。さつまいもは貯蔵が可能で加工のバリエーションも多いことや、多くの圃場面積を使用するため、耕作放棄地の解消につながることから、現在はさつまいも栽培を経営の主軸に置いています。
有機農法にこだわり、さつまいもの新たな産地を目指す
最初は加工用トマトとさつまいもで就農しましたが、現在はさつまいものみを農薬や化学肥料を使わない有機農法にこだわり、米ぬかやワラなどをすき込んで土づくりを行うオリジナルの農法で栽培をしています。また、農協や地元の若手農家、行政などと協力して、耕作放棄地を活用して八百津町をさつまいもの産地にしようというプロジェクトもスタートしており、さつまいものブランド化を進め、農業による地域活性化を目指しています。
収穫したさつまいもは、取り扱ってくれるスーパーや小売店を自分で開拓し販売しています。取り引き先を増やして規模を拡大したいとは思いますが、できるだけ「このさつまいもが欲しい」と言ってくれる人とつながり、取り引きすることを心がけています。そのためにも、欲しいと思ってもらえるさつまいもを作っていきたいです。今後は、さつまいものコンテストにも出場して、自分が栽培したさつまいもがどこまで評価されるかを試してみたいと思っています。
さらに、1年目から収穫したさつまいもの加工にも着手し、干しいもを作って直売所やネットでの販売を始めました。3年目には、マルシェでの販売を見越して、焼き芋のジェラートも開発。今は業者に製造を依頼していますが、将来的には自分で加工もできるようにしていきたいです。
農業をきっかけにさまざまな事業を展開
私が農業を始めた目的は、「耕作放棄地の解消と地域活性化」。農業はそのための手段です。そのため、マルシェを主催するなど、農業を主軸に置いた幅広い活動をしていくのが目標です。その1つとして、若手農家と一緒に自分たちが作った野菜の直売所を作り、1ヶ月間の試験営業にもチャレンジしました。直売所には、地元の人だけでなく遠方からも多くの人が訪れ、大きな手応えを感じました。この経験を活かして、今後は常設営業を目指しています。
また就農1年目から、地元の保育園のいも掘り体験を受け入れています。3年目の今年から始まった小学校の体験では、植え付けや草取りなどの管理作業体験、食育授業、そして収穫体験と、1年を通して農業を体験してもらうことで、地元の農家が頑張っていることや仕事の選択肢に農業があることを知ってもらいたいと考えています。
私は農業を始めてみて、農業をきっかけにさまざまなことができると感じています。農家は経営者でもあるので、自分で考えてトライできるのが魅力。農業という枠を大きく捉えてチャレンジすれば、独立就農は非常におもしろいと思います。
思ったよりも自由度が高い仕事!
単品目栽培なので、3~6月と8~11月の繁忙期以外は、自由に過ごすことができます。忙しい時も、基本的には土日休みの週休2日制にし、夏の暑い時期は早朝から午前中で作業を終えるように心がけています。