熊﨑 陽子さん

ロフィール

岐阜県下呂市生まれ
斐太高校、千葉大学園芸学部出身
就職した食品メーカーで農家に興味を持ち、祖父の代から続く繁殖肉用牛農家を継いで就農。

経営概念

祖父の代では10頭もいかないほどの規模でしたが、父の代から少しずつ頭数を増やし、現在は父と2人で親牛43頭を飼育。1年間に1頭1産を目標に、出産した子牛を9~10ヵ月になるまで育てて出荷しています。また、約1ヘクタールの土地に飼料作物を栽培しています。

就農の動機

最初は、植物の栽培に興味を持ち、園芸を学びに大学へ進学しました。卒業後、食品メーカーに就職し、原料調達のために契約農家と話すうちに、本格的に農業をしたいと思うようになり、まずは休日に実家の畜産を手伝うことに。子どもの頃は、牛は怖い存在でしたが、ふれ合ってみると人懐っこく、1頭1頭に個性を感じ、「畜産もおもしろい」と思いました。

就農の経緯

会社を退職した後、近隣の生産者のもとで研修をさせてもらい、畜産研究施設でも畜産の知識を学びました。その後、平成29年に就農し、父に指導してもらいながら、日々実践を重ねています。周りにも私より若い女性就農者や、法人化した農家で働いている女性も多く、時々集まって情報交換をしています。

就農しての感想

繁殖で最も大切なのは、牛一頭一頭にしっかりと向き合うこと。母牛の特徴から相性のいい種雄牛を見極め、体調を崩しやすいデリケートな子牛には、細やかに目を配って世話をしなければいけません。やはり生き物が相手の仕事なので、定期的な休みが取りづらいですね。でも大変な分、元気に生まれた子牛が大きく育ち、市場で評価されると、とても嬉しい気持ちになります。

また、稲ホールクロップサイレージを栽培している農家や、自身が手掛ける飼料作物の畑に畜産で出る堆肥を使い、できた作物を牛に食べさせる循環型農業を行っているため、もともとやりたかった植物の栽培にも携わることができました。こうした理想的な耕畜連携を今後も続けていきたいです。

今後の目標

牛にとって、血統はとても重要なもの。県内で育てられる牛の頭数が少しずつ減っている中、県内で受け継がれてきた優秀な血統の牛をどう守るかは、産地にとって大きな課題です。うちにも祖父の代から受け継いできた“安福”の血統をもつ“つる牛”がいるため、私の代で絶やすことがないよう、大切にしていきたいと思っています。

昨年は牛舎を新しく増築し、50頭まで増やすことができる環境を整えました。今後はこの中で可能な限り頭数を増やし、飛騨牛のブランド活性化に貢献できるように、健康な子牛を育てていきたいです。

これから就農しようとしている人へメッセージ

生まれた子牛や母牛を細やかに管理しなければいけない繁殖の仕事は、女性に向いていると言われます。もちろん普段の作業には力仕事も多いですが、私の周りでも若い女性が携わっている農家がたくさんあり、女性が参入しやすい分野だと感じています。

自然災害で被害を受けたり、子牛が不慮の事故で亡くなったりと、畜産には困難な場面もありますが、長く続けていくためには、長い目で目標を持つことが必要です。周りにはベテラン農家がいるので、1人で頑張るのではなく、アドバイスを大切にして“地域で頑張っていく”という意識を持つと、楽しく続けられると思います。