雇用就農で育んだ向上心と熱意をもって独り立ちへ
橋場 俊一さん
出身:岐阜県高山市
就農年月:2019年4月
栽培している農作物:トマト(麗月)
現在の圃場規模:48アール
インタビュー
Interview
トマト栽培の魅力を体感した叔父の畑から独立
私は、建設業やトラック運転手などさまざまな仕事を経験後、高山市丹生川町でトマト農家を営む叔父のもとで、6年間、トマトづくりに従事。当初は、独立したいという思いはありませんでしたが、苗から育てて生育を自分でコントロールできるところにおもしろさを感じ、徐々に「自分のやり方を試してみたい」と思うようになりました。
叔父もそんな私の背中を押してくれたため、高山市から農地を斡旋してもらって独立。「せっかく自分でやるなら、最初から大きな規模でチャレンジしよう」と、31アールの圃場を借り、私と同じく叔父の畑を手伝っていた父と2人で、トマト栽培をスタートしました。叔父の畑では、「桃太郎」という品種を栽培していましたが、独立後は果肉がしっかりとしていて割れにくく、多くの実がつきやすい「麗月」を選択。土壌がよかったこともあり、初年度から順調に収穫ができたため、2年目からは毎年1~2棟ずつハウスを増設しています。
労を惜しまず、自然相手の難しさと対峙
独立して最も難しさを感じる点は、すべて自分でスケジュールを考えなければならないこと。分かってはいましたが、作業に追われると病害虫の防除が遅れてしまうなど、なかなか思い通りに進まないことが多く、常に効率的に作業ができる段取りを考えて、日々改善をしています。不要な芽を取り除く「芽かき」や、成長に応じて茎や葉を支柱に固定していく「誘引」などの作業も、病気の早期発見にもつながるので、スケジュール通りにできるよう注力しています。
こうした努力もあってか、初年度から目標の収穫量を確保でき、年々その量を増やすことができています。しかし近年は気候の変化が激しく、雨の日が続いた後、急激に晴れた時には、木が枯れて花もつかなくなってしまったり、夏は高山でも高温になり、受粉のために放してあるハチが飛ばなかったりと、気候変動の影響も感じています。
特に、3月~4月にかけて行う苗の管理は、夜は冷たい風に当てないように暖かくし、温度が上がる昼間は苗が焼けてしまわないようにハウスを開け放つなど、温度管理や水やりには非常に気を遣います。成長してからも樹勢をコントロールするため、毎日木の様子を見て肥料の量を調節するなど、手間暇をかけて栽培をしています。
仲間と切磋琢磨しながら、規模拡大に向けた挑戦を
就農してからは、前年もハウスを2棟増やすなど、少しずつ作付面積を広げてきましたが、今後もまだまだ規模を拡大していきたいと考えています。それに伴って、作業者を安定的に雇用するためにも、冬に栽培ができるシイタケやスナップえんどうを育ててみたり、トマトを早い時期から栽培出来る養液栽培を取り入れたりすることも検討しています。近年は資材や燃料も高くなっているので、コストバランスを考えながらチャレンジしていきたいです。
この地域は農家が多く、普段から情報共有をするなど、つながりも強い点が魅力です。悩みを抱えた時は、叔父はもちろん、近隣の農家さんに相談することができ、心強く感じています。近年は、若手の研修者も増えており、毎年2人くらいが新規就農していて、就農しやすい地域だと思います。私も就農時にサポートしてもらった分、新しく農業を始める人の力になりたいと思っています。
冬の間に家族時間を充実!
栽培中は畑が気になって休んでいませんが、収穫期の後、12月末までに片づけを終えたら、1~3月はお休み。アルバイトをしながらも、家族と過ごす時間を大切にしています。スノーボードが好きなので、子どもを近くのスキー場に連れて行き、スキーやスノーボードを教えています。