新規就農者の受け入れ態勢が整った下呂市で移住就農

下呂市 トマト 独立自営就農

小西 良和さん

出身:大阪府
就農年月:2019年4月
栽培している農作物:トマト(麗月)
現在の圃場規模:45アール

インタビュー

Interview

トマト農家を目指して全国を回り、下呂市を選択

 私は、大学4年生の時に農家になることを志しました。地元で行われていた農業人フェアに行ってみたところ、「儲かるのはトマト」という話を聞き、まずは日本全国のトマト産地へ足を運んで、新規就農できる場所を探しました。しかし、実際に行ってみると、どこも自分のように未経験では門前払い。その中で、温かく迎えてくれる姿勢を感じたのが、下呂市でした。当時、下呂市には月数千円で住める施設が用意されており、師匠となる農家さんのもとで2年間の研修を受けられると知り、下呂市で就農することを決めました。

 研修中は、「行きたくない」と思うことは1度もないほど、毎日が楽しくて仕方なく、あっという間に2年が過ぎました。独立する際には、市の職員と研修先の農家さんに土地を探してもらい、標高も高くて洪水の心配もなく、移住者も多いこのエリアを選定。最初は、同じく県外から研修生として参加していた女性とともに、15アールずつ計30アールの畑を借り、2年目から現在の広さまで拡大しました。当初は「桃太郎」を栽培していましたが、1年目から「麗月」を加え、両品種の違いを実感。栽培しやすい「麗月」を徐々に増やし、現在はすべて「麗月」をつくっています。

 昨年は、一緒に栽培をしていた女性と結婚。定年を迎えた両親も大阪から下呂市に移住し、作業を手伝ってくれています。また、「出退勤の時間は自由」というルールで、地域の人をパート雇用し、活躍してもらっています。

スキルも収量も着実にステップアップ!

 独立して最初に直面した壁は、研修先とは違う土の性質を把握すること。肥料や水の適量を掴むのには、とても苦労しました。その結果、1年目は木が太り過ぎて実がならず、思ったほど収量が伸びませんでした。土の性質が分かってきた2年目は、失敗をいかして、カビの原因にもなる花柄を取る作業を徹底。一般的には花柄を取らない農家も多いですが、手間をかけた分、収量が増えて結果を出すことができました。

 私は何よりも、管理に手を抜かないことを大切にしています。管理作業は「1日休むと3日遅れる」といわれるほど重要で、手を抜くと、必ずその結果が見た目に表れます。辛い時もありますが、反対に手をかけた分だけ目に見えて成果が分かること、そして頑張った成果が収益となることは、とてもおもしろく、やりがいを感じます。

 トマト栽培は、種から育てる方法と苗から育てる方法がありますが、前者は技術と労力がかかるため、1年目は苗からスタート。しかし、2年目には接ぎ木苗に変え、3年目は自分で接ぎ木にチャレンジするなど、ステップアップを続けてきました。4年目からは、ついに種からの栽培に着手し、栽培コストも大きく削減できています。最終的には、研修先の農家さんのように60~80アールの畑をもつ大規模農家を目指して、自己研鑽に励む毎日です。

同じ思いをもつ仲間とともに、地域の農業を担いたい

 移住して就農した私にとって、研修先の農家さんや研修生に出会えたことは、とても大きなことでした。研修生の仲間は、ハウスを建てる際に手伝ったり、毎年集まってバーベキューをしたりと、独立後も深いつながりを保っています。年代も20~40代と幅広く、移住者も年々増えているので、同じ境遇の人と思いを分かち合うことができる点が魅力です。栽培で分からないことがある時も、研修先の農家さんや農協の方などに相談できるほか、地域の営農指導員が週1回巡回して指導してくれるので、とても心強いです。

 私が新規就農のしやすさを実感したこともあり、昨年からは弟も下呂市で就農したいと、同じ研修先で研修をスタート。すでに高齢で農家をリタイアする方から、ハウスを引き継ぐことも決まっています。この地域も農家の高齢化が進み、世代交代の時期に入っているため、こうして地域の農業を担う若手が増えることは、とても大切だと感じています。私も、自分がしてもらったように、いつかは研修生を受け入れて、新たな人材育成にも貢献できたらと考えています。

OFF TIME

冬はしっかり休んでエネルギーチャージ

 私は、夏の間に頑張って働く分、冬はやる気充電期間としてしっかりと休むスタイル。11月中に片づけを終えたら、2月までは冬休みとし、メリハリのある就農ライフを楽しんでいます。休み中は、趣味のドライブや旅行を満喫しています。