仕事も自分の時間も自由に楽しめるのが農業の魅力
柿澤亮太さん・夏実さん
出身:神奈川県/大阪府
就農年月:2021年4月
栽培している農作物:トマト(麗月、桃太郎8)
現在の圃場規模:25アール
インタビュー
Interview
冬場の仕事と両立できる、夏秋トマト農家に
私はもともと、夏は山梨県にあるスノーボードの室内ハーフパイプ場で働き、冬は岐阜県郡上市のスキー場でハーフパイプの造設・整備を行っていました。ある時、私は山梨で果樹園の手伝いをした際に、職業としての農業に可能性を感じ、就農に興味をもちました。いつか自営業をしたいと思っていた私は、知人の1人がトマト農家になって成功していたことから、トマト農家になる方法を模索。インターネットで飛騨市に研修所があることを知りました。
妻も農業高校出身で就農には前向きだったため、私たちは夫婦で2年間の研修に参加。実践を通じて、栽培の基本や1年間に行う作業の流れを学びました。研修後の就農場所には、圃場候補地を案内してもらった際に、夕方の美しい景色を見て、夫婦共に「ここだな」と感じた神岡町を選択。圃場の近隣には、同じ研修所を卒業した先輩も就農しており、困った時には相談できるとてもいい環境です。
夫婦で仕事を分担し、スピーディーな作業を追求
就農時は、自分たちがおいしいと感じていた「桃太郎8」と、飛騨地域では主流となっている「麗月」という品種を半々でつくることにしました。1年目は両方とも出来がよく、2年目でそれぞれのいいところ・悪いところを知ることができたので、その経験をいかして、今後は栽培効率がよく価格も安定している麗月を増やしていきたいと考えています。
現在は、私が育苗やハウスの管理、水や肥料の準備などを担当し、日々の栽培における管理作業を妻が行っています。私たちが大切しているのは、いかに楽に、効率的に作業を行うかという点。仕事と家庭を両立して無理なく働き続けるためにも、仕事は遅くとも17時までに終わることができるように、1つ1つの作業の無駄をなくし、最適な段取りで手を早めることを徹底しています。
そうした毎日の中で、私たちが感じている農業の魅力は、スケジュールもルールも自分たちで決められる点です。自分の好きな服装で、思い通りにスケジュールを組み、好きなことを楽しむ時間を確保できることが、一番の良さだと思っています。また、トマトは成長する中で日々刻刻と様子が変わり、生き物を育てるおもしろさも感じます。仕事もプライベートも楽しみながら、おいしいトマトをつくることができるこの仕事は、私たちに最適な仕事だと思います。
さらに効率化・省力化を目指して、新たな試みに挑戦
現在は、来年から7棟あるハウスのうち、6棟で麗月を栽培しようと準備を進めています。その際、さらなる省力化を目指して、1つの苗で2株分の栽培ができる2本仕立てにも挑戦する予定です。2本仕立てにすると、土からの病気が起きた際に影響が大きくなるなど、デメリットもありますが、育苗コストや定植スペース、定植準備も半分で済み、収量も増やすことができます。まずはチャレンジしてみて、メリットや最適な量などを見極めたいと思っています。
農業は、頑張った分だけ収入につながる夢のある仕事です。最も大切なのは、研修中に自分ができる仕事量や技量を把握して、適した規模からスタートすることだと思います。この地域は新規就農者も多く、移住者を受け入れてくれる環境も整っているので、私たちも農業をしたいと思う人が増えるよう、「農業は大変、休みがない、儲からない」というイメージを変える農業を実践していきたいです。
メリハリのある仕事でプライベートをしっかり満喫!
収穫シーズンは丸一日休みを取ることは難しいですが、忙しい時も17時までに仕事を終わらせるように努力し、ライブや食事に出かける時間をつくっています。冬の約2カ月間は、私は郡上市のスキー場でスノーボードハーフパイプの成形・整備を行い、妻は自宅で飼っているたくさんのペットたちと休みを満喫しています。