施設栽培と露地栽培、両方の良さを学んで就農
岡田祥典さん
出身:岐阜県加茂郡八百津町
就農年月:2018年4月
栽培している農作物:なす(筑陽)、さといも(円空さといも)
現在の圃場規模:84アール
インタビュー
Interview
生き生きとした祖父母の背中を追って農業の道へ
私は、実家で祖父母が楽しそうに畑仕事をしている姿を見て育ったことから、農業に興味を持つようになりました。そこで大学を卒業後、岐阜県安八郡神戸町にある農業法人に就職。働きながら3年間、農業のノウハウを学びました。そこでは、主に葉物野菜を栽培していたのですが、施設栽培はコストがかかることを実感。それからJAが新規就農を支援するために行っている研修に1年間参加して、露地栽培について学んだ後、ふるさとで就農しました。
就農の際には、この地域が生産に力を入れているナスを選択。また、夏が収穫シーズンであるナスとともに、冬の野菜であるさといもを育てることにしました。現在は、それに加えて米やトウモロコシ、ネギ、冬は白菜なども栽培しています。
圃場は、祖父母やその友人から土地を借りることができました。この地域は、専業農家は少なく、高齢化が進んで農家自体の数が減少しています。しかし、畑を継続しないと土地が荒れてしまうため、就農は地域の土地や農業を守ることにもつながることを実感しました。近年は、若手就農者も少しずつ増え、農業を担う仲間ができています。
安心・安全な食をめざして、品質向上に注力
ナスの栽培は、常に脇芽を剪定していく作業との戦いでもあります。剪定が遅れると、養分が分散して1つ1つの実が細くなったり、葉が生い茂って実に傷がついたりして、規格外になってしまいます。栽培を始めて5年目になりますが、いまだに成長スピードについていけない時もあり、大きな課題になっています。
おかげさまでどの作物も、毎年の目標収量はおおむねクリアしていますが、収量が上がっても品質はまだまだだと感じています。どうしても規格外のものが出てしまうため、そうした野菜は地域のお店で加工品の材料にしてもらうなど、極力無駄が出ないように努めています。
日々の作業では、食品であるからこそ安心・安全に最も気を配っています。農薬や肥料の量はもちろんのこと、収穫した作物を入れたカゴは極力地面に置かないなど、目に見えない部分までこだわっています。就農前に勤めた農業法人がGAP認証を取得していたこともあり、その時の作物に向かう姿勢やノウハウが役立っていると感じています。
困難を好機に変えて、新たなチャレンジに挑む
露地栽培の最も大きな課題は、天候の影響が大きい点です。特に近年は、比較的涼しいこの地域でも、夏は気温の上昇が激しく、負担を感じています。そこで今後は、前職の経験をいかして、天候に左右されにくい施設栽培にもチャレンジしていこうと考えています。露地栽培はやりがいもあるため、バランスを見ながら適した規模を模索していきたいです。
また、最近は肥料などの価格が高騰していることを逆手にとり、少しずつ減農薬・減化学肥料栽培や有機栽培などにも取り組んでいこうと思っています。化学肥料をできるだけ使わない栽培で、より安心・安全な作物を届けていければと思います。
冬シーズンに、計画的に休みを取得
ナスは成長が早く、栽培シーズンはなかなか丸1日休みを取るのが難しいですが、冬のさといも栽培はそれほど手間がかからないため、自分で休みを決めて、友人と遊びに出かけたりしています。仕事がある日も、日が暮れる17時くらいまでで作業を切り上げるため、プライベートとの両立もできています。