30歳を過ぎての新たな挑戦に、支援が手厚い農業を選択

岐阜市 いちご 独立自営就農

小野 一樹さん

出身:岐阜県岐阜市
就農年月:2020年6月
栽培している農作物:いちご(美濃娘)
現在の圃場規模:22アール

インタビュー

Interview

農業を始める人を受け入れる体制が、チャレンジを後押し

私は大学院を卒業後、教職に就きましたが、30歳を迎えた頃から「自分で何か仕事を始めたい」と思うようになりました。その頃、ちょうど父の知人が農業を始める際に補助金を活用し、「金銭面や土地探しなど、就農時の支援が手厚い」と聞き、インターネットでいちご栽培を学べる「JA全農岐阜いちご新規就農者研修所」があることを知りました。

 3年ほど迷いましたが、他の職業であれば、実績のない自分が事業を起こしても融資を得ることも難しい中、農業は新規就農者を受け入れる体制があること、食物をつくる仕事は今後も必要な仕事であることが決め手となり、33歳でJA全農岐阜いちご新規就農者研修所の研修生として、いちご栽培を学び始めました。

研修所は、初心者でも1からいちご栽培を教えてもらうことができ、1年間に行うべき作業の流れを知ることができました。通学や作業は想像以上に大変でしたが、一緒に研修を受けた同期生と仲良くなり、学生時代のように楽しい日々を過ごしました。同じ目線で目標に向かってチャレンジする仲間と出会えたのが、研修所での一番の収穫です。同期生とは、今も情報共有をしたり、お疲れ様会と称して年に1度、一緒に旅行へ行ったりと、交流を続けています。

土耕栽培と高設栽培の二刀流で、多彩な栽培法を探究

就農する際は、研修中にJAの紹介で高齢のため農家を辞める方を紹介してもらい、土地を貸してもらえることになりました。その農家さんは、それまで土耕でいちごを栽培しており、栽培方法について話を聞くうちに土耕にも挑戦したいと思うようになりました。土耕は作業中の体への負担が大きいことがデメリットですが、ランニングコストが低いので利益率が高くなります。また、マニュアル化されている高設栽培と違い、定植時期をずらすことができるため、高設栽培と両立できるのではと考えました。現在は、土耕を10アール、高設栽培を12アールと、圃場を分けて栽培をしています。

 就農した年は、ちゃんと実がなるか心配でしたが、目標としていた収量を達成することができました。その後、芽の取り方を変えて実を大きくしたり、価格が上がる早期の収穫量を増やすために、苗を高地で育ててみたりと、さまざまな方法を試しています。もちろん失敗もありますが、自分で工夫したことが結果として出てくることに、楽しさを感じています。

協働してくれる友人とともに、規模拡大を目指す

現在は、両親と3人で何とか作業をこなしていますが、休日になると手伝いに来てくれる友人もおり、とても助かっています。そのうちの1人は、会社を辞めて一緒に農業をしてくれることになり、将来的は法人化も視野に入れながら、規模拡大を図っていきたいと考えています。

 今後は、いちご栽培の拡大や夏の間に収穫できる作物への挑戦など、さまざまな可能性を模索しています。父も以前から自営のかたわら趣味で農業をしており、さまざまな農作物を育てては、地域の販売所で売ることを通じて、今消費者のニーズが高い農作物をリサーチしてくれています。どんな作物をつくるにしても、多くの人に「おいしい」と言ってもらえるものを目指して、尽力していきたいです。

OFF TIME

今は趣味=仕事なので、夜が息抜きタイム

今は休日でも圃場の様子が気になり、つい見に行ってしまうので、なかなか休みにならないですね(笑)。でも、日が暮れると作業ができないので、夜は友人と出かけやすくなりました。シーズンオフの夏場は労働時間も短く、定植後から実がなるまでの間は自分で休みを調整できるので、旅行や趣味の釣りなどを楽しんでいます。