農業への憧れを捨てきれず、念願のいちご農家に
落安 誉洋さん・あやのさん
出身:岐阜県可児市
就農年月:2020年6月
栽培している農作物:いちご(濃姫)
現在の圃場規模:20アール
インタビュー
Interview
さまざまな農業人と出会い、たどり着いたいちご栽培
私は建設関係の仕事をしていましたが、「何か新しいことを一から始めたい」と考えるようになり、自分が何をしたいのかを知るために幅広い経験をしたいと、北海道の農家でボランティア活動をしました。その際、自然の中で働くことができ、新規就農者への支援もしっかりしている農業に魅力を感じましたが、その時は一歩を踏み出すことができませんでした。
その後、会社勤めをしている間も農業への思いが強くなり、結婚を機に退職して「ぎふアグリチャレンジ支援センター」が行っていた「農業やる気発掘夜間ゼミ」を受講。農業の基礎知識を学び、美濃加茂市で米やトマト、果物を育てる農業法人に就職しました。そこで働く中で、美濃加茂市を中心に周辺地域の若手農業者がアンテナショップやイベントを開いて農業活性化を目指す「みのかもファーマーズ倶楽部」に参加するようになり、いちごを育てる農家の方から「いちごは収入が安定しやすい」と聞き、興味を持ちました。そこで、その方も卒業した「JA全農岐阜いちご新規就農者研修所」で生産技術や農業経営を14カ月学び、就農しました。
研修で学んだことを超えて、他の栽培方法や品種に挑戦
就農する際は、いちご栽培を辞めた農家さんから土地を借りることができました。その方が土耕でいちごを育てていたこともあり、コストが低く自然の力を感じられる土耕にも興味を持ち、研修所で学んだ高設ベンチでの栽培と土耕を10アールずつで行うことにしました。実際に両方を経験してみると、実の大きさや甘さなど、それぞれの栽培の違いを知ることができ、やってよかったと感じています。
研修所では「美濃娘」の栽培を学びましたが、私が就農した地域は、多くの農家が主に「濃姫」を栽培していたため、私も濃姫にチャレンジ。窒素や花粉の量などそれまで学んできた栽培方法とまったく違う上、手入れが楽な一方で灰色カビ病になりやすいため、1年目は失敗もありましたが、濃姫は酸味と甘味のバランスがよく、いちごらしい形と味が魅力的で、挑戦してよかったと思っています。
多彩な品種の栽培や有機栽培にも取り組んでいきたい
現在は濃姫を中心に栽培をしていますが、今後は美濃娘や他の品種も少しずつ試し、どのいちごが消費者のニーズや自分の栽培方法に合っているかを研究してみたいと思っています。また、せっかく土耕も手がけているので、土耕の強みを活かして有機栽培などにもチャレンジしていきたいです。
私はここまで本当に多くの人にアドバイスや協力をしてもらい、就農をすることができました。農業は人のつながりがとても大切です。本気で農業をしたいという思いが伝われば、周りの人もサポートしてくれるので、チャンスがあれば話を聞きに行くなど、自分から動くことが必要だと思います。
年に1度は旅行など家族の思い出づくりへ
収穫が続く12月下旬~6月は、なかなか休みをとることができませんが、土耕の定植が終わる9~10月は少し作業に余裕が出るため、一緒に栽培をしている両親に作業をお願いして、家族で旅行へ行くようにしています。まだ子どもが小さいので、今は8時~17時30分と会社勤めと同じような働き方で、家族との時間も大切にしています。