これまでの経験を生かして雇用や法人化を目指す

下呂市 トマト 独立自営就農

山田 翔也さん

出身:岐阜県瑞穂市
就農年月:2018年4月
栽培している農作物:トマト(麗月)
現在の圃場規模:27アール

インタビュー

Interview

売上をしっかり確保できる飛騨のトマトに関心

 私が就農したのは28歳の時。それまで、東京で4年半ほどラーメンチェーン店の店長をしていたのですが、その頃から「独立して仕事がしたい」と考えるようになりました。どんな仕事をしようか考えている時、「自分でつくったものを販売したい」と思い、選択肢としてあがったのが農業でした。

就農を目指して、東京で開催されていた農業フェアの岐阜県ブースに行くと、可児市にある岐阜県農業大学校で4ヶ月の短期研修があることを知り、Uターンで岐阜へ帰郷して研修に参加。研修では約30品目の野菜を栽培して農業を学びましたが、その中でも飛騨地域の夏秋トマトに興味を持ちました。経理を学ぶ専門学校に通っていたこともあり、栽培する野菜を決める際のポイントになったのが、経営をしっかりと継続できるかという点。その点では、夏秋トマトは単価が高く、飛騨は全国でも3本の指に入る産地であること、初期投資が少なく安価に始められることが魅力でした。

 さっそく現地で研修を受けたいと、下呂市内にある「あすなろ農業塾」の研修先農家を紹介してもらい、2年間、しっかりとトマト栽培の基礎を勉強。その間に就農する場所も確保し、現在の場所で就農しました。

こだわり過ぎず、常に新しい栽培方法を模索

 しっかりと研修期間を経てきたものの、畑は場所によって必要な肥料の量などがまったく異なるため、就農後はとにかくやってみないと分からないという手探りの状態でした。それでも、研修中に「木を見ればその方法が正解か不正解かが分かる」と教わっていたため、トマトと向き合う毎日でした。

 栽培する際には、常に「こだわらないこと」を大切にしています。自分のやり方に固執していると、間違っていても貫き過ぎてしまったり、他の人に任せることができず雇用ができなくなってしまったりします。ゴールを定めたらやり方にはこだわらず、他の農家さんの畑を見て新しいことを常に取り入れながら、改善することを心がけています。幸い、下呂市は新規就農を受け入れる土壌があり、新規就農者や研修生が40人ほどいるため、時々仲間と集まって進捗状況を話し合ったり、情報を共有したりするように努めています。

従業員を雇用し、さまざまな試みにチャレンジを

私は最初から従業員を入れることを考えていたため、雇用後の経営や従業員への待遇などについては、経理の勉強をした知識や店長をしていた経験がとても役立っています。

将来的には「6年目に法人化」を目標に、税理士事務所の採用担当者に今後中心となってくれる従業員の社員研修をしてもらうなど、人材教育にも力を入れています。

また、「10年後に飛騨地域で一番の農家になる」という大きな夢を掲げ、今の10倍の広さである400アールを目指して規模を拡大していきたいです。そのためにも、今年来年と徐々に増反していく予定で、連棟ハウスにポット耕を採用してオシャレな雰囲気の観光農園を開くことや、冬場の仕事を増やすためにホウレンソウを栽培することも計画しています。夏の収穫ピーク時は忙しいですが、それ以外は一般的な社会人と変わらない勤務時間で働いています。今後、雇用が増えれば夏もローテーションで休めるようにしていきたいです。

OFF TIME

生活にも慣れて移住ライフを満喫

始めは移住に不安はありましたが、実際に暮らしに不便を感じたことはなく、今では友人も増えて、スノーボードやツーリングなどで自然を満喫しています。下呂市は移住者や新規就農者など、外から来た人にとてもやさしい地域。農業を志す人には「下呂市いいよ!」とおすすめしたいです。