畜産の堆肥を活用してアスパラガスを栽培

関市 アスパラガス 独立自営就農

河野 奈央子さん

出身:岐阜県関市
就農年月:2016年1月
栽培している農作物:アスパラガス(ウェルカム)
現在の圃場規模:27アール

インタビュー

Interview

夫婦ともにそれぞれの農業で成功したい!

私は地元の農林高校を卒業後、関市内の農家でトマトやきゅうりの栽培を教わって、就農しました。その後、和牛の肥育農家である夫と出会い、結婚。いったん野菜農家から離れることになりました。しかし、夫は「今は家族経営をする時代じゃない。自分がつくりたい作物をつくって、女性農業者として成功してほしい」という考えを持っていたため、私はそれまで学んできた野菜の栽培を再び始めることにしました。

それまでは、研修先で教わったトマトやきゅうりを考えていましたが、同じく牛を育てている農家さんで、牛糞を利用した堆肥を使い、アスパラガスを育てている方がいると聞き、その農家を訪問。「うちでも同じようにやってみたい!」と思い、インターネットなどで調べながら、独学でアスパラガスの栽培を始めました。圃場は、近所で昔いちごをつくっていたハウスを借りてスタートしました。

失敗や苦労も、心身をたくましく成長させてくれる

「まずはチャレンジしてみて、前年より良くしていこう」と、とにかく見様見真似で始めたアスパラガス栽培。病気の対策や親茎を立てる立茎のタイミング、肥料や水の量など、自分で調べながら手探りで改善を繰り返しました。しかし、6年目を迎えた年に長雨が続いて湿気がこもり、斑点病という病気が広がって、ほとんどの茎を切らなければいけないというトラブルが起こりました。そこで、それを機に新たな株を育てるため、17アールのハウスを増設しました。こうした苦労もありますが、その分、アスパラガス栽培がどういうものか、ようやく基礎が分かってきたような気がします。

私の栽培は本格的な土耕なので、トラクターの運転や草取りなど、夏場は汗だくで体力的には大変な部分もあります。しかし、農業を始めてから体力もつき、精神的にもたくましくなったと実感。「自分で何としてもやり遂げるんだ」という覚悟ができ、強くなったと思います。今後も少しずつ規模を拡大し、いつかはこれから農業を志す人の研修を受け入れるなど、地域の農業に貢献できるようになりたいです。

女性も子育てしながら楽しくできる農業を!

実は、初めてアスパラガス栽培をし始めてからすぐに、私は2人の子の妊娠・出産を経験しています。子どもが小さいうちは、子どもが寝ている間に管理作業をしたり、義母に子どもを預けて圃場へ行ったりしていましたが、2人とも保育園に通うようになり、あらためて本格的に再スタートを切っています。

実際に子育てをしてみて感じたのは、農業は子育てと両立しやすい仕事だということ。急に子どもが体調を崩した時や保育園の行事がある時でも、自分で仕事をコントロールできるので融通が利きます。子どもたちも圃場へ連れて行くと楽しいようで、食卓にアスパラガスが出ると「ママ、アスパラガスの仕事を頑張ってるもんね!」と喜んで食べてくれます。

出産や子育ては、女性にとって大切なこと。今後は、私の経験を生かして、農業をしたい若い女性にアドバイスやサポートができればと考えています。例えば、毎日の作業や大人数が必要な作業を農家同士が助け合える仕組みがあれば、女性ももっと農業を始めやすくなるはず。また、地域の女性を集めて草刈りなど女性でもできる仕事をお願いするなど、女性の雇用につながることも考えていきたいです。農業を超えてさまざまなことを取り入れて、多くの人を巻き込んだ楽しい農業をしていくのが夢です。

OFF TIME

家庭も大切にできるように、休日が取れる体制を!

今は1人で作業をしているため、なかなか休みが取れていませんが、子どもの成長につれて、家庭の時間もより大事になると思います。そのため、今後は従業員を入れて、交代で休みが取れる体制をつくっていきたいと考えています。ハウスの規模を大きくして、雇用ができるようにしていきたいです。