子育てと両立しながら、夫婦でいちご栽培に挑戦

関市 いちご 独立自営就農

奥田 拓也さん

出身:岐阜県関市
就農年月:2019年6月
栽培している農作物:いちご(美濃娘)
現在の圃場規模:16アール

インタビュー

Interview

施設園芸に可能性を感じ、研修に参加

 私は就農する以前、父が自営業で行っていた仕事を手伝っていましたが、40歳の時に他の仕事を始めようと決め、夫婦でできる仕事を探し始めました。元々、妻が農業に興味を持っていたため、近所のいちご農家を訪ねて話を聞いてみたりしたところ、天候に左右されず安定した収穫ができる施設園芸に可能性を感じ、一から勉強できるところはないかと、関市に相談。そこからJA全農岐阜いちご新規就農者研究所を紹介してもらいました。

 研修所では14ケ月の間勉強をさせてもらいましたが、私を含め同期の仲間は全員農業が初めてで、すべてが新鮮な毎日でした。先輩も県内のさまざまな場所で就農しており、交流をもって情報を聞いたりと、横のつながりもつくることができました。就農後も、年に数回勉強会があるなど、サポートも充実していてとても助かっています。

 研修後は、就農地を探すのに苦労しましたが、関市やJAからの情報提供で、以前土耕でいちごを栽培し、ハウスだけが残っていた圃場を見つけ、そこを借りて就農することができました。

夫婦二人三脚で、より良い栽培方法を模索

 研修所では、1年間で1つのエリアの栽培を任されていたため、栽培の流れは一通り学んできましたが、実際に就農してみると、悩むことも多く、試行錯誤を繰り返す毎日です。いちごは、害虫や病気の影響を受けやすく、少しのトラブルですぐにダメになってしまうデリケートな作物。そのため、ちょっとした変化に気づいて、早く手を打つことが重要になります。そこで、温度や湿度などハウスの環境を携帯電話で見られるようにし、常にチェックするようにしています。

 現在は、研修所で学んだことを妻に教え、夫婦で栽培方法を相談しながら作業をしています。妻も最初は不安があったようですが、今は「植物に触れる仕事なので、毎日癒されている」と話しています。

 まだ子どもが小学生で、子育てと両立しながら農業をしているため、市場への出荷がない火曜日と土曜日には休みを取るようにし、作業の少ない10・11月は家族で過ごす時間を増やしています。多忙期は難しい時もありますが、農業は自分でスケジュールを調整できるため、学校行事や習い事などの時には2人で時間をやりくりし、両立に努めています。

収穫を安定させ、多くの人へいちごを届けたい

 幸い、初年度は想定通りの収穫ができ、2年目を迎えた今は、毎年同量程度の収量が上げられるように、まずは安定した成育を続けていけるようにすることが目標です。ゆくゆくは、出荷できないいちごの活用法として、加工品なども手がけていけたらと考えています。

 これから農業に従事する人材は減っていく一方だと思いますが、私は逆に、だからこそチャンスがあると思っています。農業は大変な点もありますが、私は黙々と作業をすることが苦にならず、自分の好きなように作業ができる自由さも心地よく感じています。

 最近では新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの分野が打撃を受けましたが、農業は今のところ影響が少なく、特にいちごは価格も安定しています。食という生活に欠かせないものという点からも、今後も安定した収穫ができるようにし、多くの方に私が作ったいちごを届けたいと思います。

コラム

「JA全農岐阜いちご新規就農者研修所」とは?

生産者の高齢化や後継者不足が深刻ないちご生産の新たな担い手を育成するため、平成20年度から岐阜市曽我屋に設置されたいちご栽培の研修施設です。毎年4月から翌年の5月までの14ケ月間、約4名の研修生を受け入れて、生産技術や経営管理をレクチャーするほか、就農に向けた準備や手続きをサポートする就農支援を行っています。
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