ポット耕栽培で多彩なトマトにチャレンジ
川村 雄祐さん
出身:岐阜県関市
就農年月:2019年12月
栽培している農作物:大玉トマト(りんか、パルト)、中玉トマト(フルティカ)、ミニトマト(アイコ)
現在の圃場規模:1.6アール
インタビュー
Interview
祖父から指導を受けながら、若くして農業をスタート
私の実家では、祖父母がきゅうりを中心にさまざまな野菜を栽培する農家でした。大学生までは、漠然といつかはその農家を継ごうと思いながらも、まずは一般企業への就職を目指していましたが、農業以上に自分がやりたいことが見つからず、「いつか農業をするなら、若いうちから始めよう」と、就農を目指すことにしました。
就農する際に選んだのは、トマト栽培。祖父母はトマトを土耕で育てていたため、最初は祖父にトマト栽培方法を教わりながら、土耕栽培を手伝いました。しかしその間に、経験に培われた技術や勘を必要とする土耕の大変さを実感。祖父も、土耕よりも安定した収穫が望めるポット耕を勧めてくれたので、独立ポット耕のシステムを販売する揖斐川工業のトマト実証農場「神戸ラボ」に約3ケ月間通い、独立ポット耕の栽培方法を勉強しました。その後、独立ポット耕の新たなハウスを建て、無事就農することができました。
直売所で感じる消費者の反応が、次の活力に
就農1年目は、とにかくトマト3800株の栽培と収穫に、1人で大奮闘。収穫期は作業に追われ、毎日日付を超えるまで寝る時間を削って働きました。その結果、このまま1人で継続するのは難しいと感じ、今年からアルバイトを入れて作業を行っています。独立ポット耕での栽培は、しっかりとマニュアル化されていますが、養液の濃度を調整したり、ギリギリまで水分を絞って糖度を上げるなど、自分なりの工夫を凝らしています。
収穫したトマトは、市場以外にも関市や可児市、美濃加茂市などの直売所で販売。直売所は、売れ具合など消費者の反応を直接感じることができるため、やりがいにつながっています。現在、大玉トマトは独立ポット耕に向いているとされる「りんか」に加え、直売所で知名度や人気が高い「パルト」という品種を栽培しています。パルトは、糖度が高くおいしいトマトですが、とてもデリケート。温度が高いと上の方が枯れてしまったり、実のおしりが黒くなってしまったりと失敗も多く、パルトをいかにうまく栽培するかが今後の課題です。
栽培品種と販売場所を広げ、より多くの人へ
就農してから、トマトを販売させてもらえる直売所やスーパーなどを回り、販売箇所を開拓してきましたが、今後は収量が増える4~6月に売れ残りを出さないためにも、さらに販売できる場所を増やしていきたいと思っています。直売所でお客さんの目に留まるように、値段の付け方や見栄えのいい袋づめなども工夫を凝らしていきたいです。
メインは大玉トマトですが、1年目からはハウスの1列分だけ、中玉トマトのフルティカの栽培にもチャレンジ。栽培もうまくいき、直売所でも人気が高いため、2年目はさらに1列分を増量しました。さらに2年目には、ミニトマトのアイコもラインナップに加えており、今後も少しずつさまざまな品種に挑戦しながら、売れ行きのいいものを増やしていこうと考えています。また今はトマトだけで精一杯ですが、将来的には他の野菜にも挑戦できればと思います。
岐阜県で開発された「トマトの独立ポット耕栽培システム」
トマトの独立ポット耕栽培システムは、トマトを1株ごとのポットで栽培する方法です。自動制御による養液で栽培されるため、生育がコントロールしやすく、土耕栽培に比べて高い収量を見込むことができます。病原菌が土に侵入しても、菌に侵されたポットを取り除くだけで病害の拡大も防ぐことができるほか、収穫位置が高くなるので作業時の負担が軽減するなど、さまざまなメリットがあります。