津田 昭彦さん
岐阜県各務原市生まれ
約35年間、外食産業に従事する中で食や農業に興味をもち、仕事を退職。
JA全農岐阜いちご新規就農者研修所にて研修後、2019年11月から就農。
経営概要
20アールの圃場にハウスを建て、「美濃娘」を栽培しています。農薬散布など全体の管理は私が担当し、収穫やはかき、パック詰めは妻と娘2人が手伝っています。
今年初めての収穫を迎えましたが、今年は暖冬で発育がよく、目標量を大きく超えそうです。
インタビュー
Interview
就農の動機を教えてください
就農前は長く単身赴任で家を離れていたため、子育てにほとんど関わることができずにいたため、岐阜に戻って家族一緒にできる仕事がしたいと思ったのが、一番の理由でした。外食産業に携わっていたため、以前から農業に興味をもっていたこともあり、就農を決意しました。
就農までの経緯はどうでしたか
ぎふアグリチャレンジ支援センターに就農の相談をしたところ、JA全農岐阜いちご新規就農者研修所を紹介してもらい、11期生として研修を受けることになりました。1年2ヵ月の研修中は、毎週日曜日に妻と娘を参加させてもらい、一緒に収穫やはかき、パック詰めを体験。3人も実際に作業をすることで不安もなくなり、就農後も即戦力として働くことができました。研修後は、各務原に畑を持っている研修所の先輩が圃場確保を手助けしてくれ、先輩が持つ畑の隣にハウスを建てることができました。
就農しての感想
いちごは栽培が難しい作物で、異常を素早く察知できる観察力や、細やかに作業をする器用さが必要です。栽培中、病気や害虫の被害が出たのですが、圃場ごとに出やすい虫や病気がそれぞれ違い、防除に悩まされました。しかしこうした経験を積み重ねることで、圃場ごとの傾向や特性、適した対策を見極めることができたので、今後に活かしていきたいと考えています。
また農業を始めてからは、収穫時はもちろん、日々の作業も家族と一緒に仕事ができることに喜びを感じています。“楽しんで仕事をすること”をモットーにし、素直な気持ちで楽しみながら作業をすることを大切にしています。
今後の目標を教えてください
私は、企業に勤めていた時に新規事業の立ち上げや事業拡張などを担ってきた経験を活かし、将来は法人化して経営に力を入れていきたいと考えています。まずは3~5年後をめどに40アールくらいまで増反し、従業員を雇える規模まで拡大していきたいです。
また、傷がついたいちごを活用するため、地域の野菜や特産品を集めて軽食やスイーツを提供する、喫茶などにも挑戦することが、最終的な目標です。いちごは栽培に手間がかかりますが、少ない面積でも高い売上を見込めるため、うまくやりこなしていけば、大きな夢が持てる作物だと感じています。
これから就農しようとしている人へメッセージ
他の産地よりも寒さが厳しい岐阜でいちご栽培をする場合、ハウスや暖房などしっかりとした設備を持って、収量を多く取ることが求められます。農業といえども、採算を合わせて続けていくためには、栽培するだけでなくお金を管理して経営をするという意識が大切だと思います。ただし、いちごは栽培に手間や投資がかかる大変さがある分、手をかけただけ結果を返してくれる作物です。元気なら定年もなく続けられるので、長い目で見て諦めずに努力を重ねてほしいです。
私は転職してみて、農業ほど行政などのサポート体制が充実している分野はないと感じました。農業をやる人はどんどん減っている点でも、新規就農者にはチャンスがある業界だと思います。農業に興味がある人に「やってみたい」と感じてもらえるように、私も将来的には、研修生を預かって育成し、農業を盛り上げていこうと思っています。