中島 雅斗さん
岐阜県海津市生まれ
大学卒業後、接客業に従事した後、兼業農家だった実家の土地を活用し、就農することを決意。海津市にある岐阜県就農支援センターで、冬春トマトの栽培を学んで就農。
経営概要
2019年から、岐阜県就農支援センターで学んだ「トマト独立ポット耕栽培システムを用いて、作付面積18.6アールのハウスで冬春トマトのりんか409を栽培しています。新規就農から約半年が経過し、初めての収穫を迎えたところです。現在は父と2人で栽培に当たっています。
インタビュー
Interview
就農の動機を教えてください
もともと実家は兼業農家で米を栽培していましたが、私が学生の頃から田んぼを営農組合に預けていました。私も接客業で勤めるかたわら、農業にも関心があったため、その土地を活かして就農することを決めました。栽培する作物は、販売の手間を省いて生産に注力できるよう、地域の特産品の中でも特に力を入れているものにしたいと考え、トマトを選びました。
就農までの経緯はどうでしたか
父の勧めもあり、岐阜県就農支援センターで県が開発した「トマト独立ポット耕栽培システム」による「冬春トマト」の栽培技術や、農業経営に必要な知識を学ぶ、14カ月の研修を受けました。同期で学んだ4名の研修生は、全員海津市内で就農。中には、他の栽培方法を採用した研修生もいましたが、私は病気の対処がしやすく、夏も熱を放出しやすいので日差しをたっぷりと当てて育てられる点から、独立ポット耕栽培を選択して就農しました。
就農しての感想
トマトの栽培技術は、研修中にしっかりと身につけることができ、思った以上にいいスタートを切ることができました。しかし、実際に栽培を続けていくと、知識を実践するための効率的な作業や適した労働力、暖房費など、経営面まで考えて栽培する難しさに直面しています。しかし一方で、自分で決断して自由にコントロールできる点には、大きなやりがいや楽しさを感じています。
また、産地としてしっかりと仕組みが整っているトマトを選んだことで、品質のいいものは収穫後にそのまま選果場へ持っていくだけで済み、出荷の手間がないメリットを実感しています。収穫後の作業が少ないため、日没までで仕事を終えることができ、負担も少ないです。
今後の目標を教えてください
現在は、まず2~3年の間に、10アールあたり30トンの収穫を目指しています。できる限り品質にもこだわり、質と量を両立していきたいです。
独立ポット耕栽培は、環境を制御しやすく、同じ環境下で均等に作物を育てられるため、こだわればこだわるほど、いい作物を作ることができる方法だと感じています。例えば、水を極限まで控えて糖度を引き出す「しめづくり」など、工夫次第でさまざまな栽培方法に挑戦することができるので、将来的には自分にしか出せない味のトマトでブランド化するのが夢です。
これから就農しようとしている人へメッセージ
独立ポット耕栽培を行っている農家はまだまだ少ないですが、農家が増えれば、産地としてのレベルやブランド力も上がり、販売も安定します。そうしたいいサイクルをつくるためにも、ぜひ多くの人に後に続いてもらいたいです。
私は岐阜県就農支援センターでの研修後、すぐに就農しましたが、さまざまな農家さんを訪ねて、多様な栽培方法やハウスの建て方などを見て回るのも大切だと思います。また、私は長い収穫期間で安定した収量が取れ、次の定植まで休みが取れる点に魅力を感じ、この品種や栽培方法を選びました。就農した後にどんなライフスタイルをしたいかを考えながら、作物が育つスケジュールや栽培方法を選ぶのをおすすめします。