岩城 浩煕さん

ロフィール

愛知県名古屋市生まれ 名城大学付属高校、愛知東邦大学出身
大学卒業後に企業へ就職していたが、31歳の時にわさび栽培に魅了され、全国の産地を見学。大垣市でわさびを育てる農家に出会い、研修を経て移住・就農。

経営概念

30アールの栽培面積で現在6棟のハウスを建て、「真妻」という品種のわさびを栽培しています。通常、1年程度の栽培で出荷できる品種がある中、真妻は発育が遅く、栽培条件も厳しい品種ですが、それだけに希少価値が高く、品質もピカイチです。すりおろした時には粘り気があり、辛味の中に爽やかな風味と甘味を感じられます。

就農の動機

もともと自然が好きで釣りも趣味だったため、清流の中で育つわさびに出会い、その栽培に魅力を感じました。またある農園で、トマトの苗が水耕栽培によって木のように育ち、巨大な実をつけるのを見て、水耕栽培にもおもしろみを感じました。その時は企業で働いていましたが、30代になって就農を決意。妻も応援してくれて、勤めていた会社を退職し、わさび栽培に挑戦することにしました。

就農の経緯

わさび農家になるべく、まずは研修をさせてくれる受け入れ農家さんを探しました。全国の産地を回りましたが、中でも大垣市で独創的な栽培方法を行っているわさび農家さんに惹かれ、1年間付きっきりで勉強をさせてもらいました。研修後、自分の理想とするわさび田をつくるため、独学でCADの操作を学びながら、水理学や土壌学の教科書を片手に、わさび田を設計し、就農までこぎつけました。

就農しての感想

わさびは、栽培期間が約2年と長く、常にいい環境を整える必要があり、非常にデリケートな作物。うまく栽培ができなかった時には、損害も大きくなるため、病気や虫害など少しの異変も素早く察知できるよう、気を配っています。

まだ作付けから収穫には至っていないため、収穫までは不安が絶えませんが、水の流れる音を聞きながらのわさび栽培は、まさに私が望んでいたものです。現在は栽培管理のかたわらパイプハウスを自主施工し、さらに圃場を広げる予定です。

今後の目標

わさびは、年に一度、全国のわさび生産者が品質を競う「全国わさび品評会」が行われます。そこに出品し、最高位である特賞を受賞することが目標です。

大垣市は全国でも有数の自噴帯で、わさび栽培に欠かせない豊富な地下水が湧き出る地域です。その水を活かし、長く受け継がれてきた伝統を持つ他の産地の中でも、固定概念にとらわれない柔軟な栽培を心がけています。品質には自信があるので、より認知度を高められるよう、努めていきたいです。

これから就農しようとしている人へメッセージ

私は農業とはまったく無縁の状態から就農を志し、ゼロからスタートを切りました。同じような境遇の方は、何から手をつけていいかも分からない状態だと思います。まずは親しい方に相談し、応援してもらうことから始め、実際に農家さんへ話を聞きに行ったり、就農フェアに参加してみたり、就農相談窓口で相談してみたりと、行動を起こしてみてください。きっと自分が望む就農までの道筋が、うっすらと見えてくると思います。

就農までは、栽培作物の選択から研修、農地、就農計画、資金調達と、いくつもの壁があり、私の場合は志を持ってから実際に就農するまでに、3年程度かかりました。時間はかかると思いますが、諦めない心をもって行動すれば、きっと道が開けると思います。