髙木 祐次さん
岐阜県本巣市出身
中学の頃から祖父母が続けてきたいちご栽培を継ぎたいと思い、農業大学校やいちご狩り農園を持つ会社でいちごについて勉強後、就農。
経営概要
25アールの敷地に3本の単棟ハウスと3連棟ハウス1本を設置し、「紅ほっぺ」を栽培。現在は、祖父と両親、妻とともに、年間約8トンのいちごを収穫しています。
インタビュー
Interview
就農の動機を教えてください
子どもの頃から祖父母がいちごを栽培する姿を見て育ち、そのいちごが大好きでした。中学の頃に祖母が他界し、祖父も体調を壊したため、一度はいちご栽培を断念する話が出ましたが、「将来、いちご栽培を継ぎたい」という強い思いを伝えました。高校からは私も手伝い、私が就農するまで苗だけは祖父に栽培を継続してもらい、今に至っています。
就農までの経緯はどうでしたか
農業大学校を卒業後、祖父が外の世界も見た方がいいと、いちごの出荷を仲介してくれている会社を紹介してくれました。そこではいちご狩り農園を運営しており、苗の管理や農家さんへの営業などに従事。多くの農家さんの話やいちご狩りに訪れる消費者の声を聞くことができ、1年間生産だけでは味わえない経験をさせてもらった後、祖父の畑を継いで就農しました。
就農しての感想
これまで学校や修行先で多くの知識は得てきましたが、就農してみて、やはり現場はマニュアル通りにいかないことを痛感しました。毎年の気候や気温の変化に対応する方法などを祖父に教わったり、同じ出荷仲介会社と提携する農家仲間とグループをつくり、勉強会を開いて情報交換をしたりと、日々勉強を重ねています。
いちごは11月末から5月中頃に収穫シーズンを迎え、その間は朝から日が暮れるまで作業に当たります。夏は休みを取る人もいますが、私の祖父は常々「いちごは苗づくりが8割」と言い、苗づくりに力を注いできました。私もその思いを引き継ぎ、夏の間も休まずハウスへ通って、より良い苗づくりに励んでいます。
今後の目標を教えてください
これまで祖父から引き継いだ単棟ハウスだけで栽培をしていましたが、過去に台風被害に遭ったことを機に、連棟ハウスを増設しました。連棟ハウスは丈夫で広い面積が確保できますが、温度管理の仕方などが単棟ハウスとは異なるため、試行錯誤しながら最適な方法を模索しています。将来的には、現在行っている土耕栽培に加え、高校と農業大学校で学んだ高設栽培を取り入れていきたいと考えています。
また、規格外品の廃棄をできる限り無くすため、畑の前に自動販売機を設置し、少しキズがついたいちごをお値打ちに販売しています。口コミで評判が広がり、消費者の方から直接「おいしかった」「また来るよ」などの言葉をかけてもらえるのが、大きな励みとなっています。今後も甘み・酸味・みずみずしさが揃い、「何もつけなくてもおいしい!」と言ってもらえるいちごをつくっていきたいです。
これから就農しようとしている人へメッセージ
農業は「おいしいものをつくりたい」という思いがないと、続かない仕事だと思います。でもその反面、真剣に取り組めばちゃんと見返りがある仕事でもあります。実がしっかりとなってくれた時などは、「農業以上にやりがいのある仕事はないな」と心から思います。
また、農業大学校でできた友人や同じいちご農家のグループなど、多くの仲間ができたことは、私にとって大きな財産となりました。農業大学校や修行先で学んだ知識が、就農後に役立っていることも多いので、たくさんの経験を積み重ねることも大切だと思います。